なんもわからん

さっき作った

プロセカ『あたしたちのハッピーエンド』感想・読解みたいなやつ

『あたしたちのハッピーエンド』感想読解書くぞ!!

雑感

デカすぎる!!!!!!!!!!!!!(感情も器も…)
ひたすら匂わせて引っ張ってきたえむの夢と別れの話をこのイベントストーリー1本でしっかり解決したの本当に偉い!
シンプルに「原点回帰」としてメインストーリーの公演に現状を重ねた上でワンダショ3年間の積み重ねで予想をガンガン超えてくる良さがあり…とにかく良かった…(語彙力)。

そんな感じで見ていきましょうか。

神代類の演出について

まずは類の話からいきましょうか。そろそろ動くか…♤みたいなことを最近のイベントでずっと発言していましたがようやくですね。
1人でえむの兄たちに独立を掛け合う類、読んでる途中はおいおいそれは1人で言うことじゃなくワンダショの4人で話し合ってから持ち掛けるもんだしえむは同意しないだろうちょっと自分勝手に話を進めていないか?と感じていましたが、その後の会話でわかるようにこの「独立の話を掛け合うこと・それをえむに伝えること」自体はただの根回しで本当に必要なのは「ワンダショの4人で独立の話をすること」だという自覚がしっかりあったのは素直にやられましたね。

しかしまさか、ひとりでえむの兄達に話しに行っていたとはな。水臭いではないか!(司)

いや普通メンバーで話し合ってからそれを経営者に掛け合うのが筋じゃないですか。でも違うんですよね。類にとってはワンダショの全員にこの独立の話をすることの方が大事で、じゃあその話し合いをする上で必要なこととして「そもそも独立が認められるか・できるのか」という部分ははっきりさせておいた方が話が早いんですよ。この辺は司や寧々のように真っすぐに夢に向かう形でなくその舞台を用意する演出家としての類らしさで、でも普通の人には出せない類らしい発想で、そして3人の気持ちに配慮したもので良かったなと思います。「ぬか喜びさせたくない」、笑顔を守ることがテーマのこのイベントストーリーでとてもいい発想だと思います。そう、本来喜ばしいことであるべきなんですよこのフリーランスでの独立は…。

鳳えむをなぜワンダショは止められないのか

えむがなぜフリーランスの話に乗り気でないのかを考えていきましょう。
はえむも「世界のみんなを笑顔にしたい」という司や寧々、類と同じ夢を持っているはずと語り説得を試みます。

僕達は全員、自分達のショーで、世界中の人を笑顔にしたいと願っている

しかし、えむはワンダーステージを守るために残ることを選びます。
これをなぜワンダショの4人が簡単に否定できないかというと、「かつてのワンダーステージが閑散としていた時期を知っており、えむやワンダショの強引なやり方でなければワンダーステージがなくなっていたことを事実として体感しているから」に他ならないでしょう。
メインストーリーでのワンダーステージは公演ができるような状態ではなかったですし、過去イベ『スマイルオブドリーマー』~『ワンダーマジカルショウタイム!』ではかつてのフェニランが失われていく様子が描かれ、それを守るためにワンダショの4人が奮闘する様子が描かれました。

だからこそ、4人にはフェニランを守りたいという気持ちも、守る存在が必要だという気持ちもわかってしまうわけですね。

回想で描かれたワンダーステージが「どんな世界にもなれる」場所であることもえむにとっての重みが「外の広い世界」と等しく対等な存在であることが示されていて良かったですね。

えむも、笑顔になりたい時は、ここにおいで。きっと素敵な世界に連れていってくれるはずだよ

だからこそ外の世界は司たちに託してえむはフェニランという世界を守る、今までなんでもできた私たちにならそれができる。決して置いていかれる形ではなく共に対等な夢を叶える形ではあるんですよね。

その中でその「フェニランはワンダショの誰かが守らなければならない」を否定できるのがまさに『ワンダーマジカルショウタイム!』でワンダショによって心境を変化させ、宣伝公演ではワンダショとともに歩んできたえむの兄たち、そしてそれだけでなくワンダショと共にフェニランで共演してきたフェニランの演者、青龍院櫻子たちという説得力は本当に良かったです。

お前の夢は――もう、俺達の夢でもあるんだからな

そして学びいずれフェニランに帰ってくることがフェニランを守るという夢にもつながっていることなんですよね。

いや~、継承と永遠の話ですね。えむ祖父の思想がえむに継がれ、それが改めてワンダショを通してえむ兄やフェニラン全体に継がれ、そして改めて観客の女の子にも伝わっていくかもしれないという話です。青龍院櫻子も『ワンダーマジカルショウタイム』で語られたように子供の頃にフェニランで影響を受けて役者を志した1人ですからね。
ワンダショが3年かけてこのフェニランを取り巻く人たちの変化を描いてきたからこそできる継承なんですよね。いい話すぎる…。

『旅の一座の物語』について

かつて類をワンダーランズ×ショウタイムに留めた演目、『旅の一座の物語』の話をしましょう。
この物語は、かつて3人から別れワンダショから離れようとした類に司が自分の気持ちを素直に伝え、そして観客から舞台へと連れ戻したものでした。
今回のイベントでも舞台で活動を続ける3人とそれから離れる1人ということで、かつての類のポジションがえむになっているのは面白いですね。今回は類が引きとめる側なのが…。
バーチャルシンガーたちの公演する『旅の一座の物語』は、永遠に4人でのショーを誓った原作版から内容を改変し、離れていてもまた再開し仲良くショーができるという内容で、ワンダショの一時的な別れを肯定するものでした。

(こっちのあたし達は、バイバイしても、またみんなでショーをやれたんだ)(えむ)

この内容は永遠を生きるボカロならでは感ありますね。いつでも曲を聴けばまたあなたのそばにいる。「セカイで待ってる」要素です。

それはさておき、この演目はもともと先ほども書いたように司の「みんなを笑顔にするショーがしたい」という自身の本当の気持ちを誤解されないよう類に伝えるためのものでした。しかしこのバーチャルシンガーの公演を見るえむは、着ぐるみを着て本当の気持ちを隠しています。その気持ちとは当然「みんなと一緒にショーがしたい」ですね、「自分でしまって忘れてしまった台本」だからこそかつての類や司のように真っすぐにこのステージに上がれない。

最後にみんなを笑顔にできない、「共にステージにあがる資格」の話でもあるんですよね。きちんと笑顔で笑えないなら観客を笑顔にできない、観客を笑顔にできないなら共にステージに上がる資格がない。本当にプロ根性の塊なんですよね。

そんな中で笑顔でなくていいと語る司の存在は本当に良かったですね。

今ぐらいは……いいんじゃないか?

泣いてもいいんですよ、役者でもプロでもない、1人の子供として、高校生としての立場で仲間との別れを悲しんでも。
このへんの『プロとして直接力になることはできないが寄り添ってくれる仲間の存在が力になる』は直近の『天の果てのフェニックスへ』や『カナリアは窮境に歌う』でも描かれたものですね。

だからこそちゃんと自分の気持ちに向き合い子供のように泣くしかないここで「大人」の介入による解決、えむの兄たちが高校生だからこそ外の世界を見に行くべきだという道を示してくれるのは本当に良かったですよ。ここまでのプロセカは比較的大人の言いなりにならない自立した人間としての活動を描いていて、ワンダショはその中でもプロとしての立場が強く描かれていたと思うのですが、その中でどうしようもなくなってしまったときに道を示してくれる大人の存在があるのは嬉しかったですね。

ところでこのへんの「子供の決めた夢への道を大人視点で否定する家族」「将来のために学んで来い」みたいな要素は直近のニーゴのイベスト『仮面の私にさよならを』のまふゆ母をも思わせるセリフで面白かったですね。しかし現状のようにえむが家族と良い関係が築けているのはえむたちが何度もぶつかり合い夢を真っすぐに語り合った結果ですので、まふゆにもめげずに仲間と共に何度も挑戦していただきたいところです(無茶言うな)。

最終的なワンダショの『旅の一座の物語』最終公演は、青龍院櫻子に村を託して4人で旅立つところで終わり、エピローグでショーをずっと続けたことのみ語られるわけですが、作中で描かれていないにしても当然VS版のように村に帰ってきていい公演したのでしょうし、それは3人と1人のものより当然いい公演だったのでしょうね。改めて考えたらそもそも旅の一座なんだから村を出て旅してなんぼだろという感じではあります。セカイはまだ始まってすらいないんだよな…。

改めてこうして振り返ると二つの想いの共存に対する問題解決についてはかなり他人任せなオチでキャラゲーの成長譚としては物足りない気もしますが……まあその他人のあり方を変えてきたのがワンダショですからね。ワンダショというか鳳えむについてはやっぱり単体で強すぎて完成されてる人間ですし、たまには他人に頼ってほしい・頼れる他人がいることに気が付いてほしいですし、経緯はどうあれハッピーエンドが一番最高ですからね。1人じゃない、あたしたちのハッピーエンド。そんな感じでどうでしょうか。

おわりに

ちょっと記事の構成がうまいことまとまらずストーリー的には前後しちゃいましたね…まあこの記事自体基本思いついたこと書いてるだけのメモ書きみたいなもんだしいいかな…。
NEXT演出イベのトリを飾るにふさわしいワンダショの歩みを感じられたとてもいいイベントだったと思いますね、進級後何が起こるのか楽しみです。

おわりだよ~。