なんもわからん

さっき作った

プロセカ『Get over it.』感想・読解みたいなやつ

『Get over it.』感想読解書くぞ!

Leo/needの音楽について

待ちに待ったレオニワンマンイベ…って思ってたら結構サクっとワンマン終わりましたね。モモジャンのワンマンががっつり1イベ使ってた(『拝啓、あの頃のわたしへ』(20222/10/12~)のでわりかし意外ではありました。5月21日のレオニコネライ合わせでっていう意味もあるんですかね。

さて、早速ですがこのイベで描こうとしようとしていたのが何かというと、「Leo/needの音楽の本質とは何か」という問いなのですが、その前に「Leo/needというユニットが描くテーマ・コンセプトは何か」という問いについて考えてみましょう。その答えはメインストーリーからずっと今まで何度も語られてきた「友人と音楽がしたい・友人とする音楽は楽しい」ですよね。
次にここ最近のイベントストーリーで描かれた「Leo/needがどういう演奏をしてきたか」について考えます。

今は離れ離れになってしまっても、出会えた幸せを胸に、前に進んで行けるように――

『Live with memories』(2022/04/21~)では、観客2人に向けた曲を作り演奏しました。

一歌ちゃんの歌詞も、志歩ちゃんの演奏もそうです。たくさんの人の心に響かせたいっていう想いが一番に入っているんです

『No seek No find』(2022/07/21~)では観客に届く演奏ができず、しかし『Don't lose faith!』(2022/08/31~)にてうまくライブハウスの観客に届く演奏をすることができました。
このように「観客の心に届く・響かせたい作詞・作曲・演奏をしよう」というテーマが直近のキーストーリーで描かれてきたわけですね。

そして今回のイベントでワンマンを経てその2つのテーマ「みんなで演奏がしたい」「音楽を届けたい」のどちらを優先すべきかという問いを咲希は抱えます。

でもでも、みんなは朔さんの言うとおり『音楽を届けたい』が一番!って感じだったでしょ!?

結論としては咲希以外の3人も同じ気持ちは持っていて、最終的に咲希もこの両方の気持ちを抱えてプロになることを決断するわけですが、ここで疑問なのはなぜ咲希だけがここに折り合いをつけられなかったのかという点ですね。単純に想いの比重の話と考えてもよく、実際咲希にとってみんなとの演奏にかける想いの比重は高いのだとは思いますが、もう少しここを掘り下げて考えてみます。

時系列を少し戻しまして、この答えはワンマンの中の穂波のモノローグから察することができます。

(でも、わたし達にとって、Leo/needにとって一番大切なのは、そういうのじゃなくて)

穂波は、咲希の音を聞いて「Leo/needにとって一番大切なのは、今の咲希のような楽しいって気持ち・みんなで合わせるのが好きという気持ち」であると語ります。志歩も、そして朔もこの気持ちに同調する様子が描かれています。
つまり、咲希はその楽しさが自分の気持ちとしてしか感じられませんが、咲希以外は「咲希の楽しいという気持ちが一緒に演奏することで自分たちに伝播する」ということ、それが「自分たちでなく客席まで伝播していた」ことを感じていた、つまりは「みんなと演奏すること」の「みんな」の対象に客席を含み、そして「音楽を届ける」の対象に客席だけでなく自分たちが含まれることを実感しているんですよね。つまりはこの2つのテーマは背反したり選ぶものではなく、同一化できるという発想がここにきて出てくるわけです。この「Leo/needの2つのテーマの同一化」、もっと言えば「Leo/needの音楽の拡張」、言われてみれば確かにという感じではあるんですがそこに発想が届かなかったのでめちゃくちゃいいなってなりましたね。今までずっと描いてきた仲間との絆や届けたい想いが、自分たち、バンド内のものだけでなく聞き手にまで拡張するんですよ。

あの時みんなが曲に乗せた感情――『みんなと演奏するのが楽しい』って気持ちは、とても心に響くものだった(MEIKO

今までのイベストでは「自分が過去に抱いた想い」をベースに曲を作り、「客にそれを共感させる」という話が描かれてきたわけですが、そこには「演奏者」と「聞き手」という明確な区別がありました。しかし、このワンマンの「演奏していた楽しい気持ちが伝わる」一体感を経てその壁が取り払われる様子、一段階上にきたなというかめちゃくちゃすげえなって感じましたね。だってレオニ4人の絆って「離れても消えない仲間との永遠の絆」なわけでものすごいもんじゃないですか、その絆の輪の中に聞き手を取り込むことこそが「Leo/needの音楽の本質」なのであれば、それはもうものすごい音楽なわけですよ(進次郎構文)。

……うん。この感覚は、味わおうと思っても味わえないよね(志歩)

「お客さんとの時間がもっともっと続いたらいい」、ライブの感想としては平凡なものですが、これに「Leo/needの仲間たちとの絆のように」という要素がプラスされるだけで激エモセリフに聞こえてきませんか?レオニのライブ、いつかまた会える獅子座流星群なんだよな…。

この辺の「歌うもの」「聞くもの」の壁を取り払う流れ、前イベの『交響する街の片隅で』でのセッションも感じさせますね。

天馬咲希と真堂というキャラクター

話を戻しまして、その経緯についてはいろいろな解釈ができるかと思いますが、咲希は4人の中で1人だけこのプロになることへの怖さを払拭できませんでした。
咲希はレオニのメインストーリーにおいて1人だけ「出遅れ」たキャラクターであり、そして他3人を「導いた」キャラクターでもあります。
そういった意味で、今回のイベストでも1人悩み、そして3人が悩まなかったのは咲希がいたからという解釈は過去を感じさせて良いのではないでしょうか。

そして今回のイベストで明かされた真堂の過去の話もしましょうか。

もちろん、元のバンドは解散になった。そして――

真堂のバンドからギターボーカルが抜け、バンド自体が解散してしまったくだりは、過去イベ『Resonate with you』(2021/04/21~)でプロの夢を追うためにLeo/needを抜けるか迷っていた志歩を意識したものでしょう。
この回想は、「志歩を引き留めることができた咲希たちは真堂とは違う」という希望と、「志歩が抜けていたらLeo/needも志歩も上手く行かなかっただろう」という示唆でもあります。
『Resonate with you』はレオニメンバーだけでなくイオリがミオにプロ入りの覚悟を問う話でもありましたね。
『Resonate with you』を読み直していて思いましたが、この時点で既に一歌は自分の歌を届けたいという話をしていて穂波はバンドの柱になる覚悟を決めているのに対し、咲希は一貫して一緒にやりたいで2人に比べるとふわついてる感覚は少しありますね…。

真堂との会話で、咲希は自分の持つ「みんなと一緒にいたい」という気持ちと「音楽を届けたい」気持ちの両方を大切にすることに自信を持ちます。

そして、そんな皆さんの音楽を、私は好きだと思って声をかけさせてもらった

この会話で重要なのは、真堂がちゃんとLeo/needの演奏を聴いて「みんなと一緒にいたい」という気持ちと「音楽を届けたい」という気持ちの両方を感じ取れていたという部分ですよね。
つまり「みんなと一緒に居たいという気持ちが音楽として真堂に届いていた」わけで、ここにも2つの要素の同一化が読み取れ、そして「その想いが伝わっていた」という事実がここで咲希にも伝わり、自分たちの音楽が伝えたいもの、伝えられたものへの実感を得たのではないでしょうか。

さて、真堂との会話を経てプロになる覚悟を決めた咲希たちの会話です。

だから今は……プロになるのが楽しみなの

この「いままでできなかったことができる」、実はまさにプロになる覚悟について悩んでいた『Resonate with you』の咲希も発言していたセリフです。>

(しほちゃん、アタシがやりたいことがたくさんあるから、あんな風に言ったのかな……)

咲希の学生生活の根幹というか夢に近い「いままでできなかったこと」をを諦めてでも志歩とプロとして音楽をやろうとしていた咲希が、今プロとして志歩たちと「いままでできなかったこと」をやろうとしてるの、流石にどエモ要素すぎるでしょ…。どちらかではない、両方を手に入れてもいいんだよな…。


最後に、真堂の一人称です。過去のバンド時代に思いを馳せる真堂は「私」から「俺」に一人称が変わっていました。
そしてプロ入りを決めたレオニメンバーに対してまた一人称が「私」から「俺」に変わります。

俺が皆さんの世話係みたいなものになるんで、まあ、楽にしてください

これは単純に距離が縮まった、という意味だけでなく、Leo/needが目指す音楽の形である「みんなと一緒に音楽をやりたい」気持ちを「聞き手に拡張する」、つまり真堂もまたLeo/needの音楽が見せた一体感により「みんな」に含まれる1人のバンドメンバーとなったという見方もでき、そしてそれがまたバンドの夢を諦めた真堂にとってのLeo/needの始まりである「またみんなでバンドをやりたい」という願いと通ずるのではないでしょうかといった感じでどうでしょう。

(アタシ達らしい――Leo/needらしい音楽を、届けられるように!)

終わりに

いや~、あの超うさんくさかった真堂が一気にエモいキャラになってしまったのなかなか良かったですね。
記事書き始めたときにはそれほど意識してなかったんですが、読み直してたら思った以上に『Resonate with you』との対比が面白いイベントでしたね。
プロセカのイベントって過去イベとの対比がアツいな~ってのは前から思ってたんですけど、こう記事書くようになってから一応ちゃんと読みなおしとくか…って読む理由ができたのは良いことですね。
いやもう気軽に過去イベ読んでたらきりがないくらいのボリュームなのはわかってるんですが、みんなで読みなおしてあーだこーだ言いたいねみたいな気持ちになるぜ…。

そんな感じで!