なんもわからん

さっき作った

プロセカ『ドタバタ cafe ●REC』感想・読解みたいなやつ

『ドタバタ cafe ●REC』感想読解書くぞ!

雑感

比較的真面目な話が続いてきた中で久々にまるまるコメディ調で明るい話だ!
混合イベではありますが全員登場していますしかなりモモジャンメインの印象の強いストーリーでしたね。

かわいいコミカルだけな話のように見えて芯には「過去の肯定」もっというなら「過去の経験・過去からの継続の肯定・反転」が根幹にありなかなかきれいにまとまっていたと思います。NEXT演出イベ後のモモジャンなのでもう進級後の話なのかな?と思いましたが混合で別にモモジャンイベではないのでまだ進級前なんでしょうね。
どちらにせよ、各キャラのここ最近の成長と時間の経過をしっかりふまえた話ではあり、一区切り後の始動の話という感じを受けましたね。

というわけで見ていきましょう。

暁山瑞希という表現者について

今回のイベント、先にも書いたようにストーリー的に主役はモモジャンの4人ですし、トップのイラストは愛莉とみのりで報酬星3イラストも愛莉とみのりではあるのですが、個人的にはストーリーの主軸としてキャラの掘り下げが描かれたのは主に愛莉と瑞希の2人だったかなと思います。

というわけでまずは瑞希の話をしていきましょう。
さて今回人手が足りないということで瑞希をバイトに誘ったのは愛莉でした。愛莉と瑞希の関係は『お悩み聞かせて!わくわくピクニック』(2021/05/10~)から始まっています。当時は他人だった2人ですが、時を経ても気安い友人としての関係が構築されていることが今回再確認できたのは良かったですね。
愛莉と瑞希として直接の関係はないのですが、直近の愛莉バナー『Re-tie Friendship』(2023/04/30~)から瑞希バナー『ボク達の生存逃走』(2023/04/30~)で過去の友人と関係を再構築できた愛莉と過去の友人との関係を再構築しないことを選んだ瑞希という対比が描かれたのも記憶に新しいです。書いていて気が付きましたがその前のバナーイベントでもこの2人のイベ連続してたんですね、こちらも雫愛莉・瑞希絵名の2人の過去関係を振り返るという話が対比的でちょっと面白いです。
maisankawaii.hatenablog.com

話がそれましたが、それだけ瑞希にとって「友人」という関係は気安いものではなかったんですよね。過去絵名やニーゴとの距離感に悩む姿は印象的で、しかし表向き瑞希は社交的なキャラクターとしても描かれていて、好きなものやカワイイものの話では常に盛り上がっている姿が見られました。『隣に立つ、優しいあなたへ』(2023/05/31~)でドレスの話で盛り上がっていたのも記憶に新しいです。

これは瑞希の「自分のパーソナルに踏み込まれたくない」という性格が大きいと思っていて、瑞希の対人関係において「意味なく他人といること」は悩ましいものですが、反面「何らかの共通の目的のために他人といること」はそれを意識する必要がなく居心地がいいという話だと思います。人ではなくモノ、内ではなく外にフォーカスする人間関係ですね、ちょっとわかりづらくはありますが…。

制服着れるっていうのもそうなんだけど……実はちょうどさっき欲しいものが出来て、お金に困ってたんだよね~

このへんの瑞希の性格は対人関係に対して後ろ向きな部分というよりは、人の内面を見ずに「好きなものが好き」だけで繋がることができるオタク的な対人関係がうまく構築できているという前向きな見方をしてもいいと思っていて、つまりはそれを築いたのが瑞希という人間の内面ではなく瑞希という人間の”外側”を構築するファッションであるとかリボンであったり、今回のイベで描かれた「飾り付け」という要素に繋がってくるんですよね。

話を戻して、今回のイベントは「遊び」ではなくバイト、仕事という目的がある話であるからこそ瑞希も気軽に誘いに乗り、楽しくやれたという部分はあったと思います。
まあそもそも『お悩み聞かせて!わくわくピクニック』でも描かれたように瑞希にとっての「友人を助けたい」はごちゃごちゃした悩みよりも優先できることでもありますからね。

このプロとしての要素を補強するのが、愛莉のプロ意識、そして咲希のバイトの先輩としての立場、みのりの元バイトとしての経験などですね。
メタ的な話として、ここ最近のプロセカのイベントとして、モモジャンは「普通の生活を捨ててプロとしての生活になること」であったりレオニの「アマチュアではなくプロミュージシャンとして活動すること」というテーマが描かれていて、ビビバスもワンダショもストーリーのテーマとして「客に想い・表現を伝える」というプロ活動をしている中でニーゴだけが「学生が音楽活動をすることの悩み」みたいなことを描いていたわけなんですよね。

だからこそ、バイトとして忙しく仕上げに手を抜いてしまった瑞希に対して、普段はふわふわしているキャラクターである咲希が既に「プロ」である先輩の立場としてアドバイスするという構図は良かったですね。

それが、この『carino/carina』の方針なのです!

そして瑞希もその姿を自分のクリエイターとしての心構えにつなげたのも良かったです。

誰かに届けたいものを作る時は、全力でやるべきだし……そうしないと作り手の想いも伝わらないよね

瑞希はあくまではかわいい制服を着るため・お金を稼ぐためという学生としては普通の目的でバイトをしていたわけですが、ここで瑞希のクリエイター・表現者としての意識がバイトという立場の中である意味でアマチュア視点ではない「プロ」の意識と接続したのがこのイベのキモだと思います。
「全力でやる」「想いを伝える」どちらも瑞希の過去ストーリーを考えるとそれから逃げ続けてきて、うまくできなかった行為ではあって、しかしそれがこのイベントの全力で向き合ったパフェという「作品」が単なる自己満足ではなく客にきちんと評価されるという「作品による人と人との繋がり」の描写によって、対人関係にしろ進路にしろ瑞希のクリエイターとしての明るい未来を感じさせてくれるものがありました。ニーゴのストーリー、今後まふゆだけじゃなく他のみんなの進路の話もやってく感じなのかもしれませんね。

なんにせよ、瑞希という表現者にとって、「作品」は「自己表現」である必要はなく、ただ奏の作った音楽だったり店長のパフェへのこだわりだったり、そういう「他人の想いを飾り付けて伝える」ことこそが表現者としての中心にあるのではないかと改めて感じさせてくれるエピソードではありましたね。

そういった意味では、「衣装による変身で別人のようになれる」雫も自分の内面を出さない表現者としての性質が瑞希と近いのかもしれません。今回雫が男装という変身をみせたのももしかすると瑞希との対比としてのエピソードなのかもしれませんね。性別の超越でもありますし。

かっこいい~~!!(お客さん達)

それはそれとして雫が食レポでパフェのこだわりに気が付いていたのは「外面ではなく内面も見て欲しい」の要素ではありますね。

桃井愛莉というアイドルが得てきたもの

続けて愛莉の話をしていきましょう。
今回のイベントでは愛莉のバラエティタレントとしての経験が活かされる形となりました。
愛莉のバラエティタレント時代の想いを描いたイベント『ハッピー・ラブリー・エブリデイ!』(2021/08/10~)では、タレント業がメインになりアイドル業ができなくなってしまった愛莉がモモジャンという新たな居場所を得てアイドルとしての姿をタレントとしての愛莉のファンに見せられるという姿が描かれました。

今回のイベントで愛莉がタレント時代の経験をみせるという『ハッピー・ラブリー・エブリデイ!』とは逆の形のイベントでしたね。『青空の先、輝きをおいかけて』(2022/08/10~)でも愛莉は生配信において今回のイベントと同じように企画屋としての顔やハッピーエブリデイの技を見せていました。

今日は、ほっぺたが落ちちゃいそうなくらいおいしかったから、まさにハッピーペロリって感じよ!

そういった意味ではバラエティタレントの才能を活かして番組をフォローする姿にフォーカスしたという部分にはあまり目新しさはなかったかもしれません。

それをふまえて今回のイベントでの愛莉のテーマは、「アイドルとして人と人をつないできたこと」だったのかなと思います。
今回のイベント冒頭では、テレビの仕事がもらえたのは前回の仕事の評判が良かったからだという話がされています。

そうね。だから業界的知名度というよりは、人とのつながりで案件をもらっている感じよ

maisankawaii.hatenablog.com
前愛莉バナーイベ、『Re-tie Friendship』の記事で「他人の要求を推測しそれに応える」能力の高さこそが桃井愛莉のアイドル性だという話をしました。
今回のイベントでも愛莉の番組の進行と店の進行をどちらも気にしてフォローにまわろうとする姿からそれは伺え、その成果としてラストの「番組時間の延長」という成果につながったのかと思います。

この他人に何かを与えるだけでなく、過去が人と人とのつながりとして自分に返ってくるという部分は今回のイベントのキモだったのかなと思います。
愛莉に限らず、過去悩んでいる瑞希を助けようとした結果今回助けてくれたことであったり、バイトをしていたみのりの経験が助けになることであったり、瑞希のデコレーションに対するこだわりがパフェに活かされたことであったり、店長に打ち上げに呼ばれたり、一緒に撮影したライザー☆風神がカフェとモモジャンの宣伝をしてくれたりといった部分ですね。ファンとのつながりを描いき巻き込んできたモモジャンだからこそ、そのつながりの輪がさらに一段階外に広がったなという印象はありましたね。

そして研究生時代からのファンとの再会も良かったですね。
過去の愛莉を苦しめていたのは「自分はアイドルとして希望を届けられていたのか」という不安でしたが、タレント時代を経てもきちんとアイドルとしての桃井愛莉をずっと見てくれた人がいたというのは愛莉にとってとても嬉しいことだったでしょう。作中で今まで出てきた愛莉のファンはほぼタレント時代の愛莉のファンでしたからね。『ハッピー・ラブリー・エブリデイ!』の過去回想では自分の握手会に来てくれたファンがQTの他メンバーと盛り上がるのを見ることしかできなかった愛莉でしたが、今のモモジャンの桃井愛莉なら不安なく自信をもって「推し変しないで」「また会いましょう」が言えるの、本当にいい話だったと思います。

――今日あなたと話せたこと、忘れないわ。また次のイベントで会いましょうね

そしてそれをなしえたのは桃井愛莉というアイドルがアイドルという仕事、バラエティタレントという仕事に不安を抱えていた間もずっと全力で向き合ってきたからに他ならないでしょう。
咲希と瑞希の会話であった手を抜かずに全力で向き合うというプロ意識の話ですね。
愛莉にとってバラエティタレント時代も無駄ではなかったという話は何度も描かれてはいますが、改めてそれが自己満足だけではなく次の仕事に繋がる・番組の尺がもらえるという「成果」の話になったの、「プロ」としての話で良かったと思います。

『ドタバタ cafe ●REC』、そんな感じでどうでしょうか。

おわりに

いや~読んでる間めちゃくちゃ楽しい話ではあったんですがトラブルが続く様に「台本から外れた動きされたくねえ~」という労働者としての私のスタンスからのお気持ちがちょいちょい出てしまったの良くなかったですね…。モモジャンのやることは全て正しいからオッケーです!

おわりだよ~